1. マスタ設定の早期凍結が成功の鍵を握る理由
公共施設予約システムの新規導入・更新において、マスタ設定の決定は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素となります。特に、運用方法の設計やマスタ設定の検討は、システムの根幹に関わる作業です。
新規導入の場合は、これまでの紙台帳での運用をそのまま電子化するのではなく、業務の効率化や市民サービスの向上を見据えた設計が必要です。
更新の場合は、現行システムの運用開始から年月が経過している場合、市民ニーズや施設の利用形態が大きく変化している可能性が高く、キャッシュレス決済への対応や指定管理者制度等の導入など、新しい要件への対応も必要となっています。また、以前のコラムで解説した通り、施設情報や利用者区分などのマスタデータは新システムの改修やデータ移行など他の工程と相互に影響しあうため、早い段階で運用の見直しを行う必要があります。
このような状況下で、マスタ設定を単なる「システムの初期設定作業」と捉えるのではなく、業務改善の絶好の機会として活用し、プロジェクトの早い段階で検討を進めることが重要です。
2. 運用見直しの必要性と課題
運用見直しの必要性は、システムの新規導入・更新に関わらず、主に3つの観点から生じています。
①非効率な運用の見直し
新規導入の場合は紙台帳時代からの運用ルールを、更新の場合は現行システムの制約に合わせた運用をそのまま踏襲しがちです。例えば、「オンライン予約後も申請書の窓口提出を必須としている」「システムの制約で、連続コマの予約を複数回に分けて行う必要がある」など、従来の運用を見直すことで、利用者の利便性向上と業務効率化の両立が可能となるケースが多く存在します。
②市民ニーズの変化への対応
スマートフォンからいつでもどこでも予約できることや、施設の運営時間外でも予約手続きができることなど、利用者の利便性向上が求められています。また、キャッシュレス決済への対応や、新型コロナウイルス感染症の影響による施設の利用形態の変化など、社会環境の変化に応じた柔軟な対応も必要となっています。
③指定管理者制度等への対応
指定管理者制度等の導入により、施設の管理運営方式が大きく変化しています。特に指定管理者の交代時には、予約データの移行や運用ルールの引継ぎに課題が生じやすく、市民サービスの継続性を担保するためにも、システムでの適切な対応が必要となっています。
3. マスタ設定の早期凍結がもたらすメリット
マスタ設定の早期凍結は、システムの新規導入・更新を問わず、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。特に、仮想環境を活用した早期検証には、3つの重要なメリットがあります。
①実際の運用イメージの早期具体化
体育館の利用区分設定や減免制度の適用結果など、新システムでの運用を事前にシミュレーションできるため、プロジェクト後半での重大な手戻りを防げます。特に新規導入の場合は、紙台帳での運用をシステム化する際の課題を早期に発見できる点で有効です。
②関係者間の認識統一
施設所管課、情報システム課、指定管理者など、多くの関係者が具体的な画面を見ながら議論できるため、認識の齟齬を防ぐことができます。また、窓口職員の操作性や利用者の予約動線なども、実際の画面で確認することで、より実践的な検討が可能となります。
③条例・規則への影響度の早期把握
仮想環境で具体的な変更内容を確認することで、条例や規則への影響範囲を早期に特定できます。これは新規導入・更新いずれの場合でも重要で、特に利用者区分や料金体系の見直しを伴う場合は、議会対応の準備を計画的に進めることができます。
4. マスタ設定の進め方と重要な考慮事項
マスタ設定の凍結に向けては、計画的なアプローチが重要です。特に、条例・規則に影響が及ぶ可能性のある利用者区分や料金体系などの基本的なマスタ項目については、議会スケジュールを考慮した工程設計が必要です。
また、指定管理者が運営する施設については、運営方針や利用規則との整合性を十分に確認する必要があります。特に、指定管理者の自主事業や独自サービスとの関係性を整理し、システムでどこまでをカバーするのかを明確にしておくことが重要です。
仮想環境での検証は、できるだけ早期に開始することを推奨します。これにより、関係者間での認識合わせや、必要な修正を計画的に進めることができ、本番稼働に向けてのリスクを最小限に抑えることができます。また、実際の運用に近い環境で職員研修を実施することで、円滑な運用開始に向けた準備が可能となります。
5. 成功のための実践的アプローチ
マスタ設定を成功に導くためには、「庁内調整」「指定管理者との協議」「システムベンダーとの連携」の3つの要素が重要です。
庁内調整では、関係部署による検討会議を定期的に開催し、現場の意見を十分に集約します。特に、複数の部署で共通する運用ルールは、全庁的な合意形成が必要です。また、新規導入・更新いずれの場合も、将来的な施設の利用形態の変化や、行政サービスのデジタル化の方向性を見据えた検討が重要となります。
指定管理者との協議では、システムの運用方法が指定管理業務に与える影響を慎重に検討します。特に利用料金がかかる施設において、マスタ設定は指定管理者の収支計画にも関わる重要な要素となります。また、指定管理者が提供する独自サービスとシステムの整合性も確認が必要です。
システムベンダーとの連携では、仮想環境での検証結果を確実にフィードバックし、本番環境への反映漏れを防ぐことが重要です。また、ベンダーの持つ豊富な納入実績やノウハウを活用し、より効率的な運用方法の提案を受けることも有効です。
6. 効率的なシステム導入に向けて
システムの新規導入・更新を成功に導くためには、仮想環境を活用した早期検証が非常に効果的です。株式会社ワイイーシーソリューションズでは、マスタ設定工程の初期段階から仮想環境を用いた打合せを実施しており、「システムありき」ではなく「運用ありき」の実践的な検討が可能です。
仮想環境のマスタ設定については、施設予約のプロフェッショナルが条例や規則、ホームページ、パンフレット等から必要な情報を細かく収集・分析し、構築します。お客様がゼロから説明したり、ご自身で設定・資料を作成したりする必要はありません。
さらに、実際の施設名称・貸出区分・料金等を使った具体的な画面をもとに調整を進めることで、認識のずれを防ぎながら確実にマスタ設定を進めることができます。
マスタ設定の早期凍結は決して容易ではありませんが、計画的なアプローチと関係者間の連携によって、確実にプロジェクトを成功へと導くことができます。
システムの新規導入・更新をご検討の際は、ぜひ35年以上の実績を持つ当社にお気軽にご相談ください。豊富な納入実績とノウハウを活かし、貴団体の円滑なシステム導入をサポートいたします。
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