1. 移行前の準備と計画立案
データ棚卸の重要性
まず現行システムのデータ構造を把握し、新システムへ移行すべきデータを明確にする必要があります。予約データは何年分必要か、利用者データはどう扱うかなど、事前に決定しておくことが重要です。
業務フロー見直しのチャンス
システム更新は業務改善の絶好の機会です。現行の運用で課題となっている点を洗い出し、新システムを活用した解決方法を検討できるチャンスとなります。特に手作業で行っている処理の自動化などは、優先して検討が必要です。検討には、システム業者に他自治体の事例を聞くと参考になります。
2. 効率的な移行スケジュールの設計
ワンポイント切り替えのメリット
当社では、公共施設予約システムの切り替えにおいて「並行運用期間を設けないワンポイント切り替え」をお勧めしています。理由は以下の通りです。
①データ整合性の確保
並行運用では二重予約リスクや予約情報の不一致が発生しやすく、データの整合性を確保することが難しくなります。
②コスト削減
並行運用期間中は両システムのライセンス費用が発生するため、財政的負担が増加します。
③施設利用者様の混乱防止
二つのシステムが存在することで、施設の利用者様が混乱するリスクを回避できます。
④職員様の負担軽減
一時的な業務増加はあるものの、長期的には作業の二重化を防ぎ、職員様の負担を軽減できます。
理想的な切替タイミング
基本的には現行システムの満了時期に合わせてシステムを切り替えますが、時期を選べる場合は予約が比較的少ない時期を選定することで、切り替えリスクを最小化できます。特に年度替わりは新旧データの区切りとしても適しています。
3. システム移行の注意点
予約データの移行精度
現行システム予約データの移行は最も注意が必要な工程です。特に地域加算、入場料金加算、営利加算や減免情報など、複雑な料金計算が適用されている予約は、移行後の検証を入念に行う必要があります。
運用見直しとマスタ設定の早期凍結
施設情報や利用区分などのマスタデータは、新システムの改修やデータ移行など他の工程に相互に影響しあいます。運用の見直しを早い段階で実施し、見直した運用をベースとしたマスタ設定を早期に凍結することが重要です。
4. リスク回避のための具体策
住民への周知戦略
システム切り替えの2〜3ヶ月前から段階的に周知を行い、切り替え直前には広報誌やホームページ、施設内掲示などで重点的に案内する必要があります。特に頻繁に利用する団体には個別案内も効果的です。
職員研修の実施
新システム導入の1ヶ月前には操作研修を実施し、実際の業務シナリオに基づいた操作訓練を行うことが重要です。その際、単にシステムの操作方法が記載されている「操作マニュアル」ではなく、実際の業務に沿った「運用マニュアル」があると、より職員の理解を深めることができ、移行後の業務がスムーズになります。
緊急時対応計画の策定
切り替え時のトラブルに備え、緊急連絡体制や代替手段(紙での予約受付など)を事前に準備しておくことが重要です。
予約データの移行精度
システム移行の注意点で一つ目に示した「予約データの移行精度」については、影響度の大きさから最も高いリスクとなり得るため、徹底した対策が必要です。具体的には今後、別コラムにてご紹介します。
運用見直しとマスタ設定の早期凍結
注意点の二つ目である「運用見直しとマスタ設定の早期凍結」については、各施設に合った対策が求められます。こちらも具体例を交えて当社コラムの中で解説していく予定です。
おわりに
公共施設予約システムの更新は、適切な計画と準備があれば、業務改善と住民サービス向上の大きなチャンスとなります。特にワンポイント切り替え方式を採用することで、移行期間中のリスクを最小化し、効率的なシステム更新が可能となります。
当社では多くの自治体様の移行をサポートしてきた経験を活かし、貴自治体のシステム更新を全面的にバックアップいたします。他社システムからの移行でも、お客様の業務をよく理解した上で貴自治体専用の「運用マニュアル」をご用意しますので、稼働後の混乱を抑制することが可能です。
お客様の規模に合った過去の事例もご紹介できますので、お気軽にご相談ください。
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