2025年11月14日 お役立ち情報

トラブル事例から学ぶ!公共施設の不正利用を防ぐには

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公共施設の予約システムは、誰もが公平に施設を利用できる環境を提供するために欠かせないものとなっています。
しかし近年、予約システムを悪用した公共施設の不正利用が社会問題として注目を集めています。内部職員による不正な操作や、利用者による不当な手段での予約、システムの運用を妨害する不正なアクセスなど、その手口は多様化しています。
本コラムでは、実際に発生した不正利用の事例を分析し、効果的な対策について解説します。
施設管理者の皆様が、より安全で公平な施設運営を実現するための一助となれば幸いです。

トラブル事例から学ぶ!公共施設の不正利用を防ぐには

1. 公共施設における不正利用の類型

施設予約システムにおける不正利用は、大きく3つのパターンに分類できます。

①内部不正

施設の職員が権限を悪用して、先着順予約の公開前に枠を押さえたり、抽選結果を不正に操作したりするケースがあります。

②利用者による倫理に反した不正利用

複数のアカウントを作成して当選確率を上げたり、他者になりすまして予約を行ったりする行為が該当します。

③システムの運用を妨害する不正アクセス

自動化された巡回ツール等を使用して継続的に大量のアクセスを行い、一般利用者の適切な予約機会を妨げるような行為が含まれます。

これらの不正行為に共通するのは、「施設を利用したい」という目的に対して、公平性を無視した手段を取ってしまうという点です。結果として、他の利用者の機会を奪い、公共施設の適切な運営を妨げることになります。

2. 実際に発覚した不正利用の事例分析

それぞれの不正利用類型について、実際に発生した事例を見てみましょう。

「内部不正」の例として、2025年に発覚した都内公共スポーツ施設での事例があります。
運動施設の受付業務を委託されていた事業者の職員3名が、本来、利用日の3日前から先着順で受け付けるはずのとある施設の予約について、予約開始前に知人の氏名1~5人分を受付簿に書き込む不正を行っていました。この不正は1年以上にわたって継続的に行われ、計128人分もの不正予約が発生していました。
この事例では、委託先職員への監督体制が不十分であったこと、予約受付権限の集中、相互チェック体制の欠如という問題点が浮き彫りとなりました。

「利用者による倫理に反した不正利用」の例としては、2021年に発覚した事例があります。
ある政令指定都市の公共施設利用予約システムにおいて、延べ908名もの利用者が、実際には勤務していない市内企業の在勤証明書を用いて「市内在勤」と偽り、登録を行っていました。これは、市内在住・在勤・在学以外の利用者には抽選申込み等に制限があるため、人気の施設を利用したい一部の市外利用者が不正に市内登録したものでした。

「システムの運用を妨害する不正アクセス」は、公共施設の予約に限らず様々な場面で発生しています。
例えば、人気ホテルの予約やコンサートチケット、テーマパークの入場予約等、予約開始と同時に予約が埋まってしまうような人気施設において、自動化された巡回ツールによる大量アクセスを用いた不正な予約が問題となっています。
最近では2025年大阪・関西万博のパビリオン予約においても、同様の手法による不正予約が繰り返され、万博協会がアカウント停止の措置を取る等して話題になっていました。
このような不正は、一般の利用者の正当な予約機会を奪うだけでなく、システムに過剰な負荷をかけてサービス停止を引き起こす可能性もあります。

3. 不正利用を抑制するためのシステム面での対策

それぞれの不正類型に対して、適切なシステム対策を講じる必要があります。

「内部不正」に対しては、操作権限の細分化と相互牽制の仕組みが重要です。
例えば、予約受付と承認を別の担当者に分ける、重要な操作は複数人の承認を必要とする、といった対策が有効です。
また、職員の操作ログを取得・保管し、定期的な監査を行うことで、不正の早期発見と抑止効果が期待できます。

「利用者による倫理に反した不正利用」に対しては、同一人物による複数アカウント作成を防止するための重複チェック機能を設ける、実際の登録時には窓口訪問による本人確認を必須とする、もしくはマイナンバーカード等を利用したオンライン登録・認証の仕組みを確立する、利用者に有効期限を設け、資格情報の定期的な確認を実施する等、本人確認の厳格化が効果的です。
また、不正発覚時のペナルティ強化によって、以降の不正を抑止することも重要です。

「システムの運用を妨害する不正アクセス」に対しては、技術的な対策が必要です。
同一IPアドレスからの連続アクセス制限、アクセス頻度の制限、CAPTCHA認証の導入等により、自動化された巡回ツール等による大量アクセスを防止できます。

4. 運用面での対策とルール整備

システムによる対策と並行して、運用面での対策も重要です。

「内部不正」への対策として、委託事業者を含めた定期的な研修の実施、コンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の整備等が必要です。また、施設管理業務を委託する事業者との契約に監督責任や罰則規定を明確に盛り込むことも重要です。

「利用者による倫理に反した不正利用」に対しては、定期的な利用実態調査の実施、証明書類の厳格な確認手順の整備、不正発覚時の利用停止基準の明確化等が効果的です。また、利用者への啓発活動を通じて、不正行為の抑止と早期発見にも努める必要があります。

「システムの運用を妨害する不正アクセス」については、不正なアクセスを検知した際の連絡体制や対応手順を明確化し、関係者が速やかに状況を把握・対処できる体制を整えることが重要です。また、一般利用者への影響を最小限に抑えるため、代替の予約受付手段(電話予約等)をあらかじめ検討しておくことが必要となります。

5. 透明性の確保と利用者との信頼関係構築

不正利用の防止には、システムや運用の透明性確保も重要です。予約・抽選の仕組みをわかりやすく公開し、利用統計を定期的に公表することで、公平性への信頼を高めることができます。

また、利用者からの不正報告窓口を設置し、寄せられた情報を適切に調査・対応することで、利用者と協力した不正防止体制を構築できます。特に「利用者による倫理に反した不正利用」は、利用者からの通報により発覚することも多いため、こうした協力体制は重要です。

6. 不正利用を防ぐために

株式会社ワイイーシーソリューションズは、35年以上にわたり施設予約システムの開発・運用に携わってきた経験から、不正利用に対する効果的な対策を提供しています。

システム面では、職員の操作内容を画面イメージで記録する高度な操作ログ機能、利用者登録時の重複チェック機能、不正利用者へのペナルティ機能、大量アクセス検知による負荷対策等、様々な不正防止機能を実装し、対策を講じています。また、パッケージシステムに対する定期的な脆弱性診断の実施により、システムの安全性を継続的に確保しています。

さらに、集計・統計機能による施設の利用状況の可視化や、抽選時におけるルールのマスタ管理などにより、システムの透明性と公平性を担保しています。

当社の強みは、充実したシステム機能に加え、長年の実績から得られた知見を活かした運用支援にあります。お客様の運用実態に即した改善提案や、新たな不正手法への対策提案を継続的に行うことで、公共施設における公平性の確保と、安全な施設運営の実現をトータルでサポートいたします。

公共施設予約システムの不正利用対策でお悩みの方や、具体的な事例を知りたい方はお気軽に当社へご相談ください。お客様の運用に合わせて最適な対策をご提案します。

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