2026年9月17日 お役立ち情報

政策形成への活用事例10選〜市民の声システムが実現したEBPM実践集

facebook x

9月も後半を迎え、多くの自治体では次年度予算の編成作業が本格化する時期です。各部署から提出される予算要求を査定し、限られた財源の中で優先順位をつけていく作業には、客観的な根拠が不可欠です。
「市民からこのような要望が多く寄せられています」「地域の課題として顕在化しています」——こうした説明に、データの裏付けがあるかどうかで、予算査定での説得力は大きく変わります。
市民の声は、本来、政策形成の重要な材料となるべきものです。しかし、紙やExcelでの管理では、必要なときに必要なデータを取り出すことが困難で、せっかくの市民の声が政策に活かされていないのが実情です。
本コラムでは、市民の声システムを活用したEBPM(証拠に基づく政策立案)の実践事例をご紹介します。

政策形成への活用事例10選〜市民の声システムが実現したEBPM実践集

EBPMとは

EBPM(Evidence-Based Policy Making)とは、「証拠に基づく政策立案」のことです。勘や経験だけでなく、客観的なデータやエビデンスに基づいて政策を立案・実行することを指します。

なぜEBPMが求められるのか

理由1:限られた財源の効果的な活用

人口減少・高齢化が進む中、自治体の財政状況は厳しさを増しています。限られた財源を最も効果的に使うためには、データに基づく優先順位付けが必要です。

理由2:説明責任の強化

住民や議会に対して、「なぜこの施策に予算を投じるのか」を説明する際、データがあれば説得力が増します。

理由3:施策効果の検証

施策を実施した後、その効果を検証するためにも、客観的なデータが必要です。「市民の声が減った」「満足度が上がった」といった効果測定が可能になります。

市民の声がエビデンスとなる

政策立案におけるエビデンスには様々なものがありますが、市民の声は最も身近で、重要なエビデンスの一つです。

– 市民が何に困っているか

– どのような要望が多いか

– 地域ごとの課題の違い

– 時系列での変化

これらを定量的・定性的に把握することで、市民ニーズに基づく政策形成が可能になります。

市民の声システムによる政策形成の実践

具体的な活用パターンを10事例ご紹介します。

1.道路補修の優先順位付け

課題

道路の補修要望は多数寄せられるが、すべてに即座に対応することは予算的に困難。どこから優先的に対応すべきか。

システムの活用

– 過去3年間の道路補修要望を地図上にプロット

– 要望が集中している路線・地域を可視化

– 要望内容(段差、穴、側溝など)を分類・集計

政策への反映

要望が集中している路線を優先的に補修する計画を策定。予算要求時に、データを示すことで財政部門の理解を得やすくなります。また、住民に対しても「要望の多い路線から順次対応しています」と説明できます。

2.公園遊具のリニューアル計画

課題

老朽化した公園遊具の更新が必要だが、どの公園を優先すべきか判断が難しい。

システムの活用

– 公園別の市民意見を集計(遊具の老朽化、危険性、利用しにくさなど)

– 子育て世代からの要望が多い公園を特定

– 地域別の人口構成(子どもの数)と照らし合わせ

政策への反映

意見が多く、かつ周辺に子どもが多い公園を優先的にリニューアル。限られた予算で最大の効果を得る計画を立案できます。

3.図書館の開館時間延長の検討

課題

「図書館の開館時間を延長してほしい」という要望があるが、実際のニーズの大きさが不明。

システムの活用

– 過去5年間の開館時間に関する要望を抽出

– 要望者の属性(働く世代、学生など)を分析

– 要望件数の経年変化を確認

政策への反映

要望件数が年々増加しており、特に働く世代からの要望が多いことが判明。試行的に週2日、閉館時間を1時間延長する施策を実施。実施後、利用者数と満足度を測定し、本格実施の判断材料とします。

4.ごみ収集ルールの見直し

課題

ごみ出しルール違反に関する苦情が多いが、どの地域で、どのようなルール違反が多いのか把握できていない。

システムの活用

– 地域別のごみ関連苦情を集計

– ルール違反の内容を分類(分別、時間、場所など)

– 季節変動を分析

政策への反映

特定地域で分別違反が集中していることが判明。その地域に重点的に啓発チラシを配布し、説明会を開催。また、外国人居住者が多い地域では、多言語のごみ出しガイドを作成しました。

5.高齢者福祉施策の拡充

課題

高齢化が進む中、高齢者向けの施策を拡充したいが、具体的にどのようなニーズがあるか把握が必要。

システムの活用

– 高齢者福祉に関する市民の声を抽出

– 内容別に分類(移動支援、見守り、介護サービス、居場所づくりなど)

– 地域別の要望傾向を分析

政策への反映

「移動支援」に関する要望が最も多く、特に公共交通が不便な地域からの声が集中していることが判明。コミュニティバスの路線見直しや、デマンド交通の導入検討を開始しました。

6.子育て支援策の優先順位

課題

子育て支援策は多岐にわたるが、限られた予算の中でどこに重点を置くべきか。

システムの活用

– 子育て関連の市民の声を分類(保育所、学童保育、公園、相談体制、手当など)

– カテゴリー別の件数と、その推移を分析

– 具体的な要望内容を詳細に確認

政策への反映

「学童保育の拡充」に関する要望が急増していることが判明。特に、長期休暇中の対応と、開所時間の延長を求める声が多数。次年度予算で、学童保育の定員増と開所時間延長を優先的に盛り込みました。

7.防犯対策の強化エリア特定

課題

防犯灯の増設や防犯カメラの設置を進めたいが、どこに設置すべきか。

システムの活用

– 防犯に関する市民の声を地図上に表示

– 不安を感じる場所、危険な場所の指摘を集約

– 警察の犯罪統計と照らし合わせ

政策への反映

市民が不安を感じている地域と、実際に犯罪が多い地域が一致する箇所を重点エリアと設定。防犯灯・防犯カメラの設置計画を策定し、地域住民への説明も市民の声データを活用して行いました。

8.イベントの見直し・改善

課題

市の主催イベントについて、参加者の満足度や改善点を把握したい。

システムの活用

– イベント別の市民の声を抽出

– 好評だった点、改善すべき点を分類

– 過去のイベントとの比較

政策への反映

特定のイベントについて「駐車場が不足している」「案内表示が分かりにくい」という声が多いことが判明。次回開催時に、臨時駐車場の確保と案内表示の改善を実施。結果、苦情が大幅に減少しました。

9.窓口サービスの改善

課題

窓口での待ち時間や対応に関する苦情があるが、どの窓口で、どのような問題があるのか。

システムの活用

– 窓口サービスに関する市民の声を部署別に集計

– 苦情内容を分類(待ち時間、説明の分かりにくさ、職員の態度など)

– 時期的な変動を分析

政策への反映

年度末の繁忙期に特定の窓口で苦情が集中することが判明。繁忙期の応援体制を強化し、待ち時間表示システムを導入。また、職員研修で特に苦情の多かった「説明の分かりやすさ」をテーマに取り上げました。

10.総合計画への市民意見の反映

課題

総合計画を策定する際、広く市民意見を聴取し、反映させたい。

システムの活用

– 過去5年間の市民の声を全分野にわたって分析

– 分野別の意見件数と内容を整理

– 地域別、年代別の意見傾向を把握

政策への反映

パブリックコメントを実施する前段階で、日常的に寄せられている市民の声を分析。計画素案に、データに裏付けられた市民ニーズを反映させました。また、パブリックコメントと日常の市民の声を統合的に分析し、計画に反映する優先順位を決定しました。

効果的に活用するためのポイント

市民の声を政策形成に活かすためのポイントをご紹介します。

日常的なデータ整理

政策検討の段階になってから慌ててデータを集計するのではなく、日常的に正確にデータを入力しておくことが重要です。

特に、カテゴリー分類を統一的に行うこと、地域情報を正確に記録することが、後の分析精度を左右します。

量と質の両面から分析

件数という「量」だけでなく、具体的な内容という「質」も重要です。件数は少なくても、深刻な課題である場合もあります。

定量データと定性データを組み合わせた分析が効果的です。

他のデータとの組み合わせ

市民の声だけでなく、人口統計、施設利用状況、予算執行状況など、他のデータと組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。

継続的なモニタリング

施策を実施した後、市民の声がどう変化したかをモニタリングします。「苦情が減った」「要望が増えた」といった変化を把握することで、施策の効果検証ができます。

庁内での情報共有

広聴担当部署だけがデータを持っているのではなく、各課が必要なときに必要なデータを取り出せる環境を整えます。システムの閲覧権限を適切に設定し、庁内でデータを共有することが重要です。

予算編成への活用

特に予算編成期には、市民の声データが威力を発揮します。

活用場面1:予算要求資料への添付

「このような市民の声が○件寄せられています」というデータを予算要求資料に添付することで、要求の正当性が増します。

活用場面2:財政部門との協議

財政部門からの質問に対して、データで答えることができます。「なぜこの施策が必要なのか」「優先度が高いのか」といった問いに、客観的に回答できます。

活用場面3:議会での説明

予算案の議会審議において、市民の声データは重要な説明材料となります。「市民からこれだけの要望が寄せられており、対応が必要です」という説明に説得力が生まれます。

まとめ

市民の声は、政策形成における貴重なエビデンスです。しかし、紙やExcelでの管理では、そのエビデンスを十分に活用できません。

市民の声システムは、蓄積されたデータを様々な角度から分析し、政策立案に活かすことを可能にします。これは単なる業務効率化ツールではなく、EBPM実践のための基盤インフラと言えます。

予算編成が本格化する9月、次年度の施策を検討する今こそ、市民の声をデータとして活用する体制を整える絶好の機会です。「市民の声を聴く」だけでなく、「市民の声を活かす」ために、システム化をぜひ検討してみてください。

\システムを詳しくご紹介しています/

広聴業務向けのコラム記事はこちら ≫

コラム一覧

よく読まれている記事

全国で進む公民館の「コミュニティセンター化」とは?

全国で進む公民館の「コミュニティセンター化」とは?

お役立ち情報 | 公開:2025.09.17
デジタル活用推進事業債とは?自治体DXを加速させる財政支援制度の活用法

デジタル活用推進事業債とは?自治体DXを加速させる財政支援制度の活用法

お役立ち情報 | 公開:2025.09.17
住民の意見を政策に反映させた事例紹介

住民の意見を政策に反映させた事例紹介

お役立ち情報 | 公開:2024.11.19

お問い合わせ

ご不明点やご相談等がありましたらお気軽にお問い合わせください

今すぐ問い合わせる