サンドボックスとは?
サンドボックスとは、疑わしいファイルやプログラムを安全な仮想環境で実行し、その挙動を分析する技術です。これにより、従来のシグネチャベースのアンチウイルスでは検知できない未知の脅威を特定し、感染拡大を未然に防ぐことができます。サンドボックスの主な特徴は以下のとおりです。
1.遠隔管理が可能
実際のシステムとは分離された環境でプログラムを動作させるため、仮にマルウェアであっても被害が発生しません。
2.挙動の分析
実行されたプログラムがどのようなファイルを作成し、どのプロセスを実行するのかを詳細に記録し、危険な動作がないかを確認します。
3.ゼロデイ攻撃の検出
ゼロデイ攻撃:修正パッチが未提供の脆弱性を狙った攻撃のこと
未知の脅威や標的型攻撃に対しても、動的解析を通じて効果的に検出することが可能です。
EDRにおけるサンドボックスの役割
EDRは、エンドポイント上で発生する脅威を検知・対応するためのソリューションですが、サンドボックスを組み合わせることで、その精度と対応能力を大幅に向上させることができます。
1.高度なマルウェア検出
EDR単体では、ファイルのハッシュ値や既知のパターンによる検知が主となりますが、サンドボックスを利用することで、未知の脅威やカスタマイズされた攻撃を解析できます。これにより、攻撃者が新たに作成したマルウェアに対しても即座に対応可能となります。
2.インシデントの詳細分析
インシデント:セキュリティ上の脅威や異常な活動のこと
サンドボックスによって得られたマルウェアの挙動データは、EDRのインシデント解析機能と連携し、より詳細な攻撃の流れを可視化します。これにより、攻撃者の意図や攻撃手法を理解し、今後の防御策を強化することが可能となります。
3.リアルタイムな対応の強化
EDRとサンドボックスの連携により、疑わしいファイルがエンドポイントに到達した時点で即座にサンドボックスへ送信され、安全性を確認することができます。もしマルウェアであると判定された場合、自動的に隔離・削除を行い、被害を未然に防ぎます。
4.フィッシング攻撃の防御
メールを通じたフィッシング攻撃は依然として多くの企業にとって脅威となっています。EDRが不審な添付ファイルを検出した場合、サンドボックスでその動作を確認し、悪意のあるマクロやスクリプトが含まれているかを解析することで、従業員が誤って実行するリスクを軽減できます。
サンドボックスの限界と今後の展望
サンドボックスは強力なセキュリティツールですが、完全ではありません。攻撃者もサンドボックスを回避する技術を開発しており、仮想環境では実行しないように設計されたマルウェアも存在します。そのため、EDRとサンドボックスの組み合わせに加え、AIによる行動分析やクラウドベースの脅威インテリジェンスの活用が求められます。
今後は、XDR(Extended Detection and Response)との統合が進むことで、ネットワーク、エンドポイント、クラウド環境全体を監視し、より高度な脅威検出と対応が可能になると期待されています。
企業は、単なるアンチウイルス対策にとどまらず、EDRとサンドボックスを活用した多層防御を構築することで、より強固なセキュリティ体制を実現できます。サイバー攻撃が高度化する中、最新技術を取り入れたセキュリティ対策の強化が不可欠となるでしょう。
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