2024年10月23日 プロ棋士瀬川晶司コラム

プロ棋士瀬川晶司さんのコラム 対局「300勝」(第6回)

facebook x

「300勝」

 10月3日の王位戦の中川八段戦に勝ち、公式戦通算300勝を挙げることができました。2005年12月12日のデビュー戦から19年近くをかけての到達になります。
 自分なりに積み重ねてきたことを振り返るいい機会となりました。通算成績300勝290敗。威張れた成績ではないですが病気や事故などアクシデントでの不戦敗もなく、無事に対局できたことは本当によかったです。

 といいつつ実は将棋教室の生徒さんにひと月前くらいに「もうすぐ300勝ですね」と言われて、はじめて気付いたことでもありました。まあ300勝しても金一封が出るわけでもないので(笑)、こういったキリ番を気付かず過ぎている棋士もいるかもしれません。なお600勝以上から将棋栄誉賞という賞を頂けることになっています。

 ちなみに藤井聡太七冠は383勝76敗というすさまじい成績です(2024年10月18日現在)。勝つ者がいれば当然負ける者もいまして、私も藤井七冠には負け星を頂いています。

 590戦、多少おぼろげなものもありますが、全ての対局を覚えています。C級2組への昇級を決めた一局、藤井聡太四段(当時)との一局など、印象に残っている将棋は沢山ありますが、まず思い浮かんだのは、デビュー間もないときベテランの先生との対局でした。相手は28連敗中でこれまでの連敗ワースト記録を更新中という状況で、さすがに負けないだろうと臨んだ対局でした。

 しかし結果は完敗。プロの強さと自分の甘さを痛感した一局で、この敗戦から対局に挑む心構えが違ってきたように思っています。なので私にとって大切な敗戦だったかもしれません。

 中川戦の夜に友人と会う約束がありました。本当は対局終了後に予定は入れたくないのですが、他に日が無く、という状況でした。

 なぜ予定を入れないかというと、将棋の内容にもよりますが、負けたときは限りなく暗いので、あまり場を盛り下げたくないという気持ちがあります。

 ただこの日は運よく勝てて300勝も達成できて、友人たちにも祝って頂き最高の夜でした。栄誉賞はさすがに難しそうですが、また美味しいビールを飲めるよう、400勝を目標に頑張ります!

詰将棋シリーズ 第4回(問題と回答)

前回詰将棋の回答です。

【解説】格言「玉は下段に落とせ」の▲1一角が急所の一手。△3一玉なら▲4一金までの詰みとなります。

次の一手シリーズ 第1回

問題です。

今回は中川八段戦から次の一手問題。△5九角成とされたところで局面は勝勢です。この手で勝てそうかなと思いました。ヒントは先手玉の逃げ道を広げつつも相手玉を攻める攻防の一手です。難問ですが腕自慢の方チャレンジ下さい!回答は来月に。

コラム一覧

よく読まれている記事

Seagull-LC とは?

豆知識 | 公開:2023.07.14

びーこんうぉっちの乗降記録がバスキャッチに自動で反映されます。

製品・サービス | 公開:2023.09.28

お問い合わせ

ご不明点やご相談等がありましたらお気軽にお問い合わせください

今すぐ問い合わせる