2026年9月25日 プロ棋士瀬川晶司コラム

プロ棋士瀬川晶司さんのコラム (第28回)「株の入り口へ」

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株の入り口へ

 8月16日、九段下にある「昭和館」へ行ってきました。終戦記念日のすぐ後ということもあり、この時期に訪れるにはとても意味のある場所だと感じました。

 昭和館の前は、これまでにも何度か通ったことがありました。武道館などへ行く機会があるため、建物の存在自体は以前から知っていましたが、中に入ったのは今回が初めてです。

 昭和館は、戦前から戦後にかけての国民生活に関する資料を展示している資料館です。館内には、どこか懐かしさを感じる展示もあれば、胸が痛くなるような展示もありました。見学を終えて、やはり戦争は決してしてはいけないものだと、改めて強く感じました。

 展示資料の中に、「全国民貯金」といった趣旨のポスターがありました。当時は、国を支えるために国民へ貯金が強く奨励されていたようです。その名残もあって、日本人は貯金を好むようになった、という話を聞いたことがあります。

 ただ、調べてみると、日本人が昔からずっと「貯金第一」だったわけでもないようです。江戸時代には、現在の株式市場のようなものこそありませんでしたが、商人たちの間では、資金を商売に回して増やすという感覚がかなり発達していました。大坂の堂島米市場では米の先物取引も行われており、これは現代の投資にも通じるものがあります。

 もちろん、庶民全員が投資をしていたわけではありません。しかし、「お金はただ貯めておくもの」というより、「商売や人の働きに託して増やすもの」という考え方は、少なくとも商人の世界には根づいていたのだろうと思います。

 そう考えると、戦時中から戦後にかけての「貯金奨励」の空気が、日本人の金銭感覚に与えた影響は、かなり大きかったのかもしれません。私自身も、いつの頃からか「投資は危ない。貯金が確実だ」という感覚を、ごく自然に持つようになっていました。

 ところが最近は、インフレの影響もあってか、投資ブームともいえる状況です。インデックス投資、つまり日経平均株価やS&P500などの指数に連動する投資方法を実践している人の話も、よく耳にするようになりました。

 私もここ何年か、投資信託程度はしていました。ただ、ほとんど人に言われるがままに置いているだけで、「なんとなく増えているな」という程度でした。日経平均株価なども、普段の生活で特に意識することはほとんどありませんでした。

 しかし、昨年6月から理事となり、外部の方々との付き合いが増えました。その中で、自分には社会や経済に関する知識がまだまだ足りないと痛感する場面が出てきました。そこで、個別株を扱ってみれば、社会や経済をもっと身近に感じられるのではないかと思うようになりました。

 昔、「信長の野望」というシミュレーションゲームに夢中になったことがあります。あのゲームをきっかけに、戦国武将に興味を持つようになりました。たとえば、「黒田官兵衛は知力が異様に高いけれど、実際にはどんな武将だったのだろう」と気になり、そこから司馬遼太郎や山岡荘八などの歴史小説を読みあさった経験があります。

 株も、それと少し似ているのかもしれません。実際に触れてみることで、企業や経済、さらには世界情勢への関心が自然と広がっていくのではないか。そんな期待がありました。

 もちろん、株で大きく儲けようとは思っていません。いや、できるものなら儲けたいですが、現実にはそう簡単なものではないでしょう。ただ、自分のお金が絡むと、関心の持ち方がまったく変わるのは確かです。

 実際に始めてみると、株関連のYouTubeや雑誌、本などを見る機会が増えました。そして、想像していた以上に面白い世界だと感じています。

 もともと私は、賭け事が嫌いではありません。競馬やパチンコにはまっていた時期もありました。競馬は外れたらゼロですが、株は必ずしもそうではありません。それだけでも、夢のように思えます(笑)。

 もちろん、やり方次第では大きな損をすることもあります。ただ、長いスパンで世界情勢や企業活動と絡めながら考えていくと、株は壮大なゲームのようにも感じられます。付き合いのある企業の情報なども、会話のきっかけになります。

 あとは、大負けしないことを祈るのみです。どうか、健闘を祈ってください。 まだまだ初心者ですが、楽しみながら少しずつ成長していければと思っています。いつか億万長者に……いや、大きく勝とうとすると大きく負けるというのは競馬で学びました(笑)夢を見すぎない程度に、株の世界と付き合っていきたいと思います。

詰将棋 前回の問題と回答

最後に詰将棋を出題します。まず前回詰将棋の回答です。

【前回問題】ヒント「5手詰です。桂をどこに成るか?」

【回答】
▲2一銀成△同玉▲3二桂成△1一玉▲2二成桂まで5手詰

【解説】初手▲2一銀成と捨てるのが好手です。△同玉に▲3二桂成が実現します。3手目▲3二金は△1一玉で詰みません。

詰将棋

5手詰です。相手の飛車を捨て駒で翻弄してください。

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