
公式棋戦のこと①
最近、理事や大学のことを書きましたが、何といっても棋士の本分は公式棋戦の対局です。対局への準備や対局中の心境など、記していこうかと思います。
公式戦棋戦運用規定に「公式棋戦の対局は棋士・女流棋士の第一の公務であり、定められたすべての公式棋戦に出場できる権利がある」とあります。
棋士は将棋を勝つことが自分を表現する一番の手段です。勝ち続ければ地位も名誉も得ることができます。まあ、これはどの勝負の世界も一緒ですね。なので対局が第一なのは言うまでもありません。
公式棋戦について説明します。まず将棋界には竜王戦や名人戦など8つの主要タイトル戦が、ほか順位戦と一般棋戦があります。順位戦については第10回、11回のコラムに記しましたのでよければご覧ください。
どの棋戦も一年のサイクルで優勝者や昇級者を決めていきますが、簡単にまとめると下記のようになります。
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将棋公式戦の年間スケジュール
- タイトル戦の進行
- 8つのタイトル戦は複数の段階で進みます。
- 予選(挑戦者決定戦・リーグ戦): 年間を通じて行われます。
- 本戦(タイトル保持者との対局): 七番勝負や五番勝負が設定され、数ヶ月かけて進行します。
- 各タイトル戦のスケジュールが重複するため、棋士は複数のタイトル戦に並行して参加します。
- 8つのタイトル戦は複数の段階で進みます。
- 順位戦
- 名人戦の予選を兼ねたリーグ戦で、年間を通じて定期的に対局が組まれます。
- 各クラス(A級、B級、C級)の棋士は、10局前後をこなします。
- 一般棋戦
- NHK杯、銀河戦、朝日杯オープン戦などの一般棋戦も年間を通じて進行。
- 早指し棋戦が多く、短期間で進むものが多い。
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ほとんどの棋戦はトーナメント戦になるため、勝てば勝つほど対局も増えていきます。昨年度の最多対局数は岡部五段の63局(49勝14敗)でした。ちなみに私は33局(16勝17敗)。指し分けだと30局位になることが多いです。もちろん負ければ負けるほど、対局数は減っていきます。とても寂しいです(笑)。
次は対局の流れについて。だいたい2週間前に対局通知が送られてきます。〇月〇日に誰々と対局してください、というものです。ここから対局が始まるといえるでしょう。普段の練習に加えて、対戦相手の将棋を研究して、傾向と対策を練っていきます。もちろん当日ベストの体調で迎えられるよう生活にも気を使います。 また相手が仲の良い棋士だったりすると、対局まで顔を合わせないようにすることもあります。戦う相手と食事などは気まずい部分もありますので。
この対局準備についてはAIが台頭してよりシビアになりました。次回はそのあたりから書いていきたいと思います。
<写真>6月、理事としてはじめてタイトル戦に同行しました。対局場所の徳島県松茂町「樫野倶楽部樫野邸」の前で

詰将棋 前回の問題と回答
最後に詰将棋を出題します。まず前回詰将棋の回答です。

詰将棋
