
前回の続きです。今回は「将棋界のいい面、厳しい面、サラリーマン生活との違いについて」書いていきます。まず棋士とサラリーマンを比較してみます。
収入の安定性
- 将棋棋士: 収入は不安定です。主な収入源は賞金と対局料であり、これは勝敗によって大きく変動します。勝ち続けなければ収入は減少し、場合によっては生活が困難になることもあります。特に若手棋士や成績が振るわない棋士は、副業なしでは厳しい状況に陥ることもあります。
- サラリーマン: 会社に雇用されているため、基本的に毎月一定の給与が支給され、収入は安定しています。病気や急用で休んだ場合でも有給休暇などがあり、収入の心配は少ないです。
労働時間と自由度
- 将棋棋士: 公式戦の対局は月に数局程度で、それ以外の時間は比較的自由に使うことができます。将棋の研究や普及活動、メディア出演などは個人の裁量に任されます。ただし、プロである以上、常に将棋の研究に時間を費やす必要があります。
- サラリーマン: 勤務場所や時間が会社によって定められており、働き方の自由度は低いです。残業や休日出勤なども発生する可能性があります。
キャリアパスと評価
- 将棋棋士: 実力主義の世界であり、勝敗が全てです。昇段やタイトル獲得は、個人の成績に直結します。成績が悪ければ降級や引退もあり、厳しい競争にさらされます。一方で、トップ棋士になれば社会的な知名度も高く、将棋界を牽引する存在として尊敬されます。
- サラリーマン: 会社での勤務年数や実績、役職などに基づいて評価され、昇進や昇給があります。成果が給与に直結しないこともあり、年功序列の傾向が強い企業もあります。リストラなどのリスクはありますが、棋士ほど極端なアップダウンは少ないです。
社会的保障
- 将棋棋士: 基本的に個人事業主に近いため、社会保険や年金、退職金などは自己で準備する必要があります。日本将棋連盟に所属していますが、会社員のような福利厚生は限定的です。
- サラリーマン: 会社を通して社会保険や厚生年金に加入し、退職金制度なども整っている場合が多く、比較的社会的な保障が手厚いです。
仕事内容
- 将棋棋士: 主な仕事は将棋の対局です。その他、将棋の研究、将棋教室での指導、イベント出演、メディア出演、書籍執筆など、将棋の普及に貢献する活動も行います。
- サラリーマン: 会社や部署によって多岐にわたりますが、一般的には与えられた業務をこなし、会社組織の一員として働きます。
このように、将棋棋士とサラリーマンは、収入の安定性、働き方の自由度、キャリアパス、社会的保障など、あらゆる面で対照的な働き方と言えます。
ここからは私個人の意見になりますが、将棋界のいい面としては、何といっても棋士は自由ということです。スケジュールは自分次第なので休暇も取り放題です。あと対局がメインで共同作業も少ないため、人間関係のストレスはほとんどありません。苦手な相手とは顔を合わせなければいいだけですし、もし対局となれば一層燃えます。いや、私には特に苦手な方はいませんが(笑)。
厳しい面は完全実力主義というところと収入が不安定な面でしょうか。勝ちが続いているときはこんないい仕事はないと思うのですが、逆のときは最悪です。でも全て自己責任ですので、納得はしています。あと、将棋のことを常に考えてしまうので仕事から完全に離れる日は無いといえるかもしれません。
私はサラリーマン生活も経験しており、どちらがよいとは一概に言えませんが、ただ子供の頃から純粋に好きだったことを仕事にできている分、棋士でよかったと思っています。これが私にとっての将棋界の一番良い面なのでしょう。
最後に話は変わりますが、大学講師に続いて、自分にとって新しいことがまた始まりそうです。6月より日本将棋連盟の理事となって、運営のお手伝いをする予定です。詳しくはまたご報告させて頂きます。
写真は前回報告の神奈川大での講義風景(日本将棋連盟HPより)
※リンク先↓
「神奈川大学学校教育」開講のレポート|イベント|日本将棋連盟
<写真>※向かって左が私です

詰将棋 前回の問題と回答
【前回問題】 【回答】
<ヒント>「金はとどめに残せ」 ▲4三銀打△3一玉▲3二金まで3手詰


【解説】「玉は下段に落とせ」の初手▲4三銀打が大事です。金を最後に残すことによってどこに逃げても頭金までの詰みとなります。
詰将棋
<詰将棋>

5手詰です。ヒント「相手玉を3一に逃がさないように。両王手が出現します!」