
「順位戦のこと(前編)
先月2月27日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれるA級順位戦の最終日でした。将棋界に詳しくないと「?」でしょうけれど、将棋ファン、関係者にとっての最大イベントともいえます。なお、結果は後日のプレーオフで永瀬拓矢九段が藤井聡太名人への挑戦を決めました。
順位戦とは棋士にとって根本となる棋戦です。文字通り対戦して順位を争います。原則6月~3月の期間に行われる9~12回戦のリーグ戦でA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5クラスでそれぞれ昇降級を争い、A級優勝者は名人への挑戦権を得ることができます。
会社に例えればタイトル保持者が社長ならばA級が専務や常務、B1が部長、B2課長、C1係長、C2平社員、といった感じでしょうか。そのときの実力が全てで年功序列などありませんので、平社員のクラスにかつての社長がいることも珍しくありません。
もうひとつ順位戦に参加しないフリークラスというものがあります。C級2組から降級するか、また自分の意志で転出することも可能です。フリークラスは所属後一定年数が経つと強制引退となります(復帰規定もあります)。
このあたりは詳しく書くと、長くなるので省略しますが、要するに順位戦さえ残っていれば、何歳まででも現役でいられますし(加藤一二三先生は77歳まで現役でした)、順位戦から落ちてしまうと、若くても引退となるということです。
リーグの終わりが見える年明けから3月まで、昇降級に絡む棋士はみな胃が痛いです。クラスが落ちての収入減も辛いですが、現役引退となる場合もある訳ですから。
私はC級2組というクラスに所属しています。前期、負けが込んでしまい、成績下位につく降級点を取ってしまい今期も取ればフリークラスへ降級という状況でした。今期順位戦開幕前にこんなブログを書きました。
前年度振り返りなど①
※瀬川晶司のシャララ日記へリンクします
前年度振り返りなど②
※瀬川晶司のシャララ日記へリンクします
まとめると、自らフリークラスに転出すれば65歳で引退、ただ順位戦で負けて降級すると60歳引退が濃厚でした。悩んだ末に指すことに決めた、というものです。この時の心境は前述ブログに記しましたので、目を通して頂けたら幸いです。
意を決して臨んだ今期順位戦は現時点で5勝4敗と、降級はなんとか免れました。そして3月中旬の最終局に勝つと6勝4敗(C2は10回戦)の勝ち越しとなり降級点が消えるというボーナスがあります。
対戦相手は現在首位の若手です。私に勝てばC1へ昇級なので、お互いに大事な一番となりました。プレッシャーもありますが、このような勝負将棋を指せるのは幸せと思います。
次回は最終戦の結果をふまえて今期順位戦を振り返りたいと思っています。いい報告ができるよう頑張ります。

※名人戦棋譜速報より抜粋
詰将棋 前回の問題と回答
最後に詰将棋を出題します。まず前回詰将棋の回答です。

詰将棋
