2025年8月5日 お役立ち情報

2040年問題と斎場のデジタル化~多死社会のピークに向けた斎場運営の新たな一手~

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2040年、日本の死亡者数は年間168万人とピークを迎えると予測されています。これは2020年と比較して約30%の増加を意味し、火葬場をはじめとする葬祭インフラに大きな課題を投げかけています。本コラムでは、2040年問題に向けた斎場のデジタル化の重要性と、その具体的な対応策について考察します。

2040年問題と斎場のデジタル化~多死社会のピークに向けた斎場運営の新たな一手~

2040年問題の実態と課題

2040年問題の本質は、単なる死亡者数の増加にとどまりません。団塊の世代が90歳代を迎えることで、都市部では火葬場の処理能力を超える需要が集中的に発生すると予測されています。同時に、地方では人口減少により施設の維持が困難になるという、地域による深刻な需給バランスの歪みが生じることが懸念されています。

さらに、葬祭業界全体で深刻化する人手不足の問題も重なり、従来の運営方式では立ち行かなくなる可能性が高まっています。施設の老朽化も進んでおり、多くの自治体で設備の更新時期と2040年問題が重なることも、課題をより複雑にしています。

デジタル化による解決策

これらの課題に対して、デジタル技術の活用は有効な解決策となり得ます。例えば、AIを活用した需要予測システムの導入により、季節変動や地域特性を考慮した精密な運営計画の立案が可能になります。あるモデル地域では、AIによる予測システムの導入により、火葬炉の稼働率が向上し、待機時間が短縮されたという報告もあります。

また、広域連携プラットフォームの構築により、複数の斎場間で需要を分散させることが可能になります。東京都内のある地域では、デジタルプラットフォームを通じた斎場間の連携により、繁忙期の待機日数を最大3日間短縮することに成功しています。

IoTセンサーを活用した設備管理システムの導入も進んでいます。火葬炉の状態をリアルタイムでモニタリングし、予防保全を実現することで、突発的な故障を防ぎ、安定した運営を確保することが可能になります。

人に寄り添うデジタル化

しかし、斎場のデジタル化を進める上で最も重要なのは、テクノロジーの導入が決して非人間的なサービスにつながってはならないという点です。故人との最期の別れの場である斎場には、常に人間的な温かみが必要です。

デジタル化は、むしろスタッフが事務作業から解放されることで、より丁寧な遺族対応に時間を割けるようになるという利点があります。ある斎場では、予約システムの導入により事務作業が60%削減され、その分を遺族との対話や心のケアに充てられるようになったと報告しています。

特に重要なのは、デジタルデバイドへの配慮です。高齢者など、デジタル機器の操作に不慣れな方々にも配慮した、きめ細かなサポート体制の整備が必要です。電話予約との併用や、対面での丁寧な説明など、従来の方法も残しながら、徐々にデジタル化を進めていく姿勢が求められます。

地域特性に応じた展開

デジタル化の推進においては、地域ごとの特性を十分に考慮する必要があります。都市部では処理能力の不足が主な課題となる一方、地方では施設の維持管理コストの削減が重要な課題となっています。

例えば、ある地方都市では、近隣の複数の自治体が共同でクラウド型の予約システムを導入することで、システムの導入・運用コストを削減しながら、効率的な施設運営を実現しています。また、AIによる需要予測を活用することで、職員の配置や火葬炉の稼働を最適化し、運営コストの大幅な削減に成功しています。

働き方改革とデジタル化

斎場のデジタル化は、職員の働き方改革にも大きく貢献します。従来、火葬場職員は不規則な勤務時間や急な対応を求められることが多く、ワークライフバランスの確保が難しい職種でした。しかし、デジタル化により業務の効率化と平準化が進むことで、より計画的な勤務シフトの作成が可能になります。

自治体における予約システムのデジタル化事例では、予約業務の効率化により職員の残業時間が削減され、休暇取得がしやすくなったという報告があります。例えば、従来の電話予約からオンライン予約システムへの移行により、予約受付に関する業務時間が削減され、職員の働き方改革に寄与しています。

今後の展望

2040年に向けた斎場のデジタル化は、環境への配慮も重要なテーマとなります。デジタル技術を活用することで、火葬炉の効率的な運転管理が可能になり、エネルギー消費の最適化が図れます。また、ペーパーレス化による環境負荷の低減も期待できます。

さらに、再生可能エネルギーの活用やカーボンニュートラルへの対応など、持続可能な斎場運営を実現するための取り組みも、デジタル技術を活用することで効果的に推進できます。

おわりに

2040年問題は、斎場運営に大きな課題を投げかけていますが、適切なデジタル化対応により、これらの課題に対処することは可能です。重要なのは、単なる効率化だけでなく、故人と遺族への敬意を保ちながら、時代に即したサービスを提供することです。

デジタル化は手段であって目的ではありません。最終的には、誰もが尊厳を持って最期を迎えられる社会の実現が目標です。人間的な温かみを失うことなく、計画的かつ着実なデジタル化を推進していくことが、これからの斎場運営には求められているのです。

はじめの一歩におすすめ

ワイイーシーソリューションズの『Seagull-LC 斎場予約システム』は、自治体職員の業務効率化と市民サービス向上を目的に開発されたオンライン予約管理ツールです。このシステムを導入することで、火葬場や式場の空き状況確認や予約手続きがインターネット上で完結し、従来の電話対応や窓口業務の負担を大幅に軽減できます。斎場予約システムの大きな利点として、まず電話予約が不要になることで、職員が煩雑な予約業務から解放され、他の重要な業務に集中できる点が挙げられます。また、オンラインによる予約手続きは、従来の方法で起こりがちだった聞き間違いや書き間違いといったミスを防ぎ、予約管理の正確性を向上させます。さらに、斎場予約システムは24時間365日対応可能なため、葬祭業者は時間を気にせず空き状況を確認したり予約を行ったりできるほか、自治体職員にとっても時間外対応の負担が軽減されるメリットがあります。予約情報が一元管理されることで関係者間でのスムーズな情報共有が可能となり、業務の効率化をさらに推進します。これにより、自治体職員の負担を軽減すると同時に、市民に対してより迅速で質の高いサービス提供が実現します。

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