制度対応は終わったのに、なぜ経理は楽にならないのか
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を機に、請求書や証憑の取り扱いを見直した企業は多いはずです。しかし実際には、「制度対応はしたのに、経理の手間はあまり減っていない」という声も少なくありません。検索要件を満たすために保存ルールを整え、請求書の扱いを変更し、帳票を電子化した。それでも月末月初は忙しいまま、承認は滞り、紙やExcelも残り続ける。こうした状態は珍しくありません。
法対応だけで止まると起きる3つの問題
その理由は、法対応と業務改善が別々に進んでしまうからです。制度対応では、どう保存するか、どう区分するか、どう残すかが焦点になりがちです。一方、現場で負担になっているのは、その前後にある受領、確認、承認、入力、仕訳、集計、保管、検索といった一連の流れです。ここが変わらなければ、表面上はデジタル化しても、実務はほとんど変わりません。
たとえば、メールで受け取った請求書を一度印刷して回覧し、承認後に別システムへ転記し、最後にまた電子保管しているケースがあります。あるいは、会計システムに入力する前段階をExcelで管理し、担当者しか分からないルールで運用している企業もあります。こうした運用は、制度上の対応はしていても、業務としては二重化や属人化を招きやすく、担当者の負担を減らしません。
見直すべきは保存方法ではなく業務全体の流れ
ここで見直すべきなのは、保存方法そのものよりも業務全体の流れです。どこで入力が重複しているのか、どこで承認が止まりやすいのか、どこに紙が残っているのか、誰しか分からない判断が残っていないか。そうした流れを可視化すると、実は経理部門の課題は制度対応以前に、運用設計の問題として存在していたことが見えてきます。
特に中小企業では、限られた人数で経理・人事・労務・申告関連を兼務していることも多く、法改正や制度変更のたびに担当者個人へ負荷が集中しがちです。この状況を放置すると、日々の処理に追われるだけでなく、業務改善の時間もなくなり、結果として「現場が苦しいのに変えられない」状態に陥ります。

経理DXは経理部門だけの話ではない
こうした問題を減らすには、会計だけでなく、その周辺業務まで一体で考えることが有効です。YECのOBC 奉行シリーズでは、財務会計、販売仕入、債権債務、給与、人事労務、申告業務など、バックオフィス全体を支える製品群が案内されており、導入時のヒアリングやデータ移行支援、法改正・制度変更への情報提供も強みとして紹介されています。
経理DXの目的は、紙をなくすことでも、制度対応を終わらせることでもありません。本当の目的は、必要な情報が無理なく流れ、担当者負担を減らし、経営判断に必要な数字を早く使える状態をつくることです。
制度対応の次に必要なのは“運用の再設計”
制度対応をきっかけに入口だけを整えた企業ほど、今こそ次の一手を打つ価値があります。もし「法対応はしたが、まだ現場は大変だ」と感じているなら、その違和感こそが、業務改善のスタート地点かもしれません。
会計処理の効率化は、経理部門だけのためのものではなく、会社全体の意思決定スピードや生産性にも直結します。制度対応で終わらせず、運用の再設計へ進めることが、これからの経理部門には求められています。
制度対応をきっかけに、経理業務そのものを見直したい企業様も増えています。
「制度対応はしたが現場負荷が減らない」「紙やExcelが残ったままで困っている」という場合は、会計・人事労務・申告業務まで含めた業務整理からご相談ください。