相模原市役所 総務局 渉外部 広聴広報課のご担当者様に、ワイイーシーソリューションズ(以下Yec)の「広聴業務の効率化」と「住民サービスの向上」を支援するシステム「Seagull-LC C-Connect 市民の声システム」を導入された経緯、選んだ理由、効果等について詳しく伺いました。
(相模原市について)
相模原市は昭和29年から市制が施行され、平成26年に60周年を迎えました。
神奈川県北部に位置し、北は東京都、西は山梨県と接しており、面積は県内では横浜市に次ぐ2番目の広さとなっています。
人口(※)は、県内では横浜市、川崎市についで3番目の規模となっています。
圏央道の開通やリニア中央新幹線の駅設置、在日米陸軍相模総合補給廠の返還地の活用、小田急多摩線の延伸計画、圏央道インターチェンジ周辺の産業拠点など大規模プロジェクトが集中する全国的にもまれな都市です。今、本市は首都圏南西部をリードする広域交流拠点都市として、「人や企業に選ばれる都市づくり」を進めています。
相模原市では、「市民の声システム」を平成26年の4月から導入し、円滑な広聴業務を行うために活用しています。
当初は、主に庶務担当者(約300人)が中心となって過去の事例や他の課の案件などを参照して回答を作成する作業を想定しておりましたが、現状では庶務担当以外の職員も多く利用されています。このようなことから、庁内における市民の声の情報共有手段として有効に利用されているものと推測されます。想定以上の職員に利用されている状況ですが、導入してから9ヶ月ほど経過しても、大きなトラブルは無く、順調に稼動しています。
「市民の声システム」導入以前は、いくつかの課題がありました。(下図参照) 具体的に申しますと、
これらの課題を解決するためには、データベースでの一元管理が必要となり、平成24年頃『市民の皆さんからのご意見・問い合わせ』についてのシステム化を検討し始めたのが導入のきっかけです。
相模原市が『市民の皆さんからのご意見・問い合わせ』システムを選定する際に、要件としたのは主に下記の点です。
受け付けた相談が、今どこでどのような状況になっているか(どこで止まっているか)を確認できる。
各課で受け付けた市民の声のメールを、関係する担当課へ転送と作成依頼ができる。
議会資料として提示するために必要なデータを抽出・出力できる。
指定項目検索・フリーワード検索ができる。また、複数項目を指定しての検索も行うことが可能。
「市民の声」の回答作成時に、システムに蓄積された過去の回答事例を検索・参照し、過去の回答文を流用することができる。
以上の要件をふまえて、数社を比較検討しました。
構築期間が短く、カスタマイズが不用なシステムを求めており、Yecの「Seagull-LC C-Connect 市民の声システム」は、パッケージでしたので短期間での導入が可能でした。
実際に平成26年4月1日からの本稼動に向けて、平成25年9月からシステムの設計・開発にとりかかり、平成26年3月の上旬に職員の研修を実施し、中旬~下旬にかけて庁内のテスト環境を構築するというスケジュールでした。
Yecの「市民の声システム」は、既に神奈川県内複数の自治体に導入されていました。選定にあたり、当時の相模原市担当者から、既に導入されている自治体の担当者に導入効果などについて、直接に問い合わせもしました。
また、相模原市では、Yecの他システム(施設予約システム等)を20年近く前から導入していますので、実績と合わせて信頼もありました。
個人情報の保護について、市の条例により違いがあります。先述の自治体では、市民の皆さまからいただいた意見や問い合わせの内容について、市役所内で共有できます。しかし、相模原市の条例では基本的に共有できません。そのため個人情報を非表示するなど、条例に沿った表示が可能な機能は重要でした。
前記の5つの要件を満たしている事と、選定理由や価格も比較検討したコンペの結果、Yecのシステムが相対的に優れており、導入されることに決まりました。平成25年の夏頃のことです。
所期の目的は十分に達成でき、満足しています。導入後、あらためて実感した良い点は次のとおりです。
業務効率の向上 | システム化により、これまでの【市民の声(紙)が届く→担当課を電話で確認→内容の書類を届け→担当課ではない場合→書類を持ち帰る→再度、担当課を探す】手間が解消され、担当者間の業務効率が良くなりました。 |
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回答の迅速化・統一化 | データ化により文書の流用や閲覧が可能になり、各課の担当者がワードやテキストに入力する作業が合理化され、回答がこれまで以上に迅速かつ統一化されました。回答までの日数について、手紙の場合で概ね一週間程度、Eメールの場合で三日以内での回答ができるようになりました。 |
堅実な進捗管理 | 対応が遅れている案件については進捗管理画面にアラートがでるので、堅実な確認ができます。また、担当課への督促も画面のチェックボタンを入れるだけで催促メールが送れるので重宝しています。 |
情報共有による把握 | 管理者と各課の担当者が案件内容について、同じ内容(画面)を見ながら確認できるので、情報共有と同時に進捗管理も可能になりました。 |
検索 | 指定項目検索、フリーワード検索ができます。また、複数項目を指定しての検索も行うことができます。 |
「市民の声システム」の導入を含む「相模原版CRM」の取り組みが評価され、「2014年 CRM ベストプラクティス賞(※)」受賞いたしました。
※: 一般社団法人CRM協議会主催 「顧客中心主義経営(CCRM)」顧客(市民)ニーズに対応して、優れた成果を上げた企業や自治体に贈られる賞
受賞のポイントは、「回答の迅速化、効率化」、「全体傾向の把握、履歴分析」、「幅広い意見聴取、全庁的なCRM推進体制」、「政策判断・政策決定、施策反映への仕組みづくり」、「市民との情報共有、開かれた市政」が相模原版のCRMとして実践されていることでした。受賞にあたっては、Yecさんの「市民の声システム」がその一端を担っています。
そのほか今年度から、幅広い市民の方の満足度を上げるために様々なプロジェクトにも取り組んでいます。具体的には、ジュニア・市政モニター制度を創設して、市内の319名(37校の中学生・18校の高校生)から意見や要望をもらえるようにしたり、市コールセンターによるアウトバウンド業務も開始しました。
これらの取組みにより、幅広い世代の市民の皆さんから意見や要望をもらえるとともに、「市民の声システム」で一元管理できるようになったことで、 市民の方からいただいた意見を業務改善・市政へ反映する『流れ』の一部を築くことができました。今後は、市民の声の分析結果を意思決定のプロセスにのせる『仕組み』を構築したいと考えています。
規模の大小を問わず民間企業では、CRM(Customer Relationship Management)は一般的になっており、自治体においても推進していこうとする傾向にあります。
市民の方の意見や問い合わせに、これまで以上の決め細やかな対応や把握をする必要があります。
主観になりますが、Yecの「市民の声システム」は非常に有効だと思います。即導入が難しいとしても、ご検討することをお勧めします。
導入前の研修をはじめ、導入後においても迅速で丁寧な対応いただき満足しています。より業務が捗るために、督促メールのカウントやトピックス・トップ画面の文字修飾の機能もあると有難いですね。
今後も自治体でのIT化はますます重要になります。相模原市ではシステムや設備を無駄なく有効に活用しつつ、職員の意識を高め業務の効率化を目指していきますので、ワイイーシーソリューションズには、役立つ技術やサービスにおいて一層の期待をしています。引き続きご支援ください。
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。